29日に行われた参院選挙の結果は、自民党が30議席台にとどまるという歴史的大敗で幕を閉じた。
安倍首相は、選挙終了後の会見で続投する意向を示している。しかし、首相は今回の選挙の結果から、国民の意思をしっかりと読み取らなければならない。
残念ながら、今回の選挙結果は多くの国民が現在の政治に不信感を持っているということを表している。
このような政治不信を招いた最も大きな原因は、やはり年金問題であったと思われる。年金問題に関しては、正確には社会保険庁に責任があることであるが、問題発覚後の対応に問題があったのだろう。早く何とかしたいという気持ちはわからないでもないが、たった1日で法案を作成し、それを強行採決しようというのは少々やり方に問題があったと思われても仕方があるまい。
また、「政治とカネ」の問題に関しても同様のことが言える。伊吹文部科学相、故松岡元農林水産相、赤城農林水産相と事務所費問題が次々と明らかになるにも関わらず、不正はなちという国民が納得するような明確な証拠を示すことができなかった。これも、国民の政治不信を強めることにつながったに違いない。
そして、今後は政権運営がやりにくくなることは間違いない。与野党が対立する法案は、たとえ与党が衆院で法案を可決しても、参院で民主党が否決する可能性が高いからだ。その後、衆院に戻り可決すればいいだけのことだが、これでは法案を通すまでに時間がかかる。これは、政権運営上好ましいとはいえない。
そのようなことから、今後は参院第一党の民主党の責任が大きくなる。無用な混乱を招かないようにするためにも、これまでのように与党を批判するだけのような党運営は見直す必要があるだろう。明確な理由も無いまま、これまでのようなことを続ければ、今度は痛いしっぺ返しをくらうことになるに違いない。
安倍首相は、早急に政権を立て直さないといけない。国民の信頼を取り戻すためにも、今後の改革に全力を挙げて取り組んでもらいたい。
そして、不明瞭な事務所費問題について、費用の詳細を示すなど早めに問題解決を図ったほうがいい。もし、本当に不正が行われていたのならば、しっかりと国民に謝罪し、先日改正された政治資金規正法のさらなる改正も視野に入れるべきである。
本当に待ったなしの状態である。これ以上、国民の不信感がつのらないようにするためにも、できることはすべてやり、それらを払拭できるように全身全霊を尽くすべきだ。