昨日、3日トヨタ自動車の2007年4から6期連結決算が発表され、売上、利益ともに最高益を更新し、米ゼネラル・モーターズを上回り、世界一になる可能性が増してきた。
これは、トヨタ自動車の地道な努力によって達成されたすばらしい結果であると思う。これからもその好調を維持してもらい、日本を代表する企業として、がんばってもらいたい。
しかし、私としてはできればトヨタには世界一にはなってほしくなかったというのが本音である。最強のナンバー2のほうがよかったのではないかと考えている。
別に、トヨタが世界一を狙っていたわけではなく、どんどん生産を拡大していったら、いつの間にか世界一になっていたのかもしれないが、やっぱり私は2番手でいてほしかった。
その理由は、自動車産業は長い間、米国を代表する産業の1つであり、もしトヨタが世界一になれば、その米国のプライドに傷をつける可能性があるからだ。
私は、目立つものは必ず強い批判を浴びるようになるものだと思っている。出る杭は必ず叩かれるということだ。それは、逆に言うと、知名度が上がってきた証拠であり、いいことのようにも思われるが、決してそんなことはない。
トヨタ自動車には、これからほんの小さなミスすら許されないことになるからだ。いくらトヨタでも、そんなことはできない。運営しているのが、人間である以上は必ずミスが出る。これからは、それすら許されないことになる。これは、想像以上のプレッシャーである。
また、今後、米国で民主党政権が誕生した場合、まずトヨタへの風当たりが厳しくなることは間違いない。それは、民主党の一番の支持基盤が労働組合だからだ。そのような批判をトヨタはかわしきることができるだろうか。
私は、別にトヨタに減産しろと言っているわけではない。トヨタも株式会社として、利益を追求するのは当然である。しかし、この自動車に関する問題で、日米間にいらぬひずみが生じることだけは何とか避けてもらいたい。
そのためにも、トヨタは米国内での自動車生産をもっと増やすべきであると思う。いくつか工場を新設する計画があると聞くが、その程度ではぜんぜん足りない。米国内で販売するものは、すべて米国内で生産するぐらいのつもりでやらないと、批判をかわすことはできないだろう。
もちろん、そんなことはできないと思うが、なんとか米国の自動車業界との摩擦が生まれることを避けるためにも、日本の自動車業界は米国の自動車業界に最大限の配慮をするべきである。