7月の名古屋場所前、時津風部屋の序ノ口力士がけいこ後に急死するという事件が起こった。制裁目的の暴行があったとの疑いが強まり、愛知県警は立件する方針であるという。
今回の件で亡くなった力士は、まだ18歳という若者である。
わが子を失った親の気持ちを考えると本当に胸が詰まる思いだ。警察には、徹底した捜査を求めたい。
相撲界には先輩力士が後輩力士に厳しい稽古をつける「かわいがり」という伝統があるらしい。
もちろん、私はそのような伝統を批判するつもりはない。
そのような厳しい環境で切磋琢磨することも、強い力士に成長するためには必要なことだと思うからである。
だが、限度というものがあることを忘れてはいけない。
今回の場合、激しい稽古に耐えられなくなり、部屋を逃げ出したために、その行為への制裁という形で暴行が行われたらしい。
その激しい稽古の後、さらに金属バットなどで暴行を加えたというのだから、これは明らかに常軌を逸している。
しかもそれを静止するはずの時津風親方までもが、ビール瓶で額を殴ったという。事実ならば、本当に許されない行為であり、指導者としては堂考えても失格であろう。そして、ちゃんと然るべき罰を受けなければならない。
しかし、今回の件は相撲という世界での問題と受け取られているようだが、今時どの業界にも似たようなものがあるのではないかと思う。
かつては、「弱いものいじめはいけないこと」とであり、強者は弱者の手を差し伸べるというのが当然であった。だが、残念ながら今は違う。
「強者は自分より下のものにはどのようなことをしてもいい」そんな考えが当たり前になっているような気がするのは私だけだろうか。
小学校などでいじめが減らないのがいい例であろう。本来なら、そんなはずかしいことはないと思うのが当然なのだが、そういう感覚がちょっと鈍くなっているように思う。
そのようにいじめが常態化してしまっている現在ではそのような悪しき連鎖を断ち切るのは容易なことではない。
ここは本当にはずかしいことであると思うが、ちゃんとした指導者がもう一度、一からそのようなことを教えていくしかないと思う。大変に情けないことだし、もちろん時間はかかるであろうが、仕方がないことである。
そして、できれば小学校でもこのようなモラルの指導を徹底していくべきである。もうこのような悲劇を繰り返さないためにも、今の子供たちには私たちがちゃんと教えていかないといけないと思う。