高校教科書の沖縄戦集団自決に関する記述に付けられた検定の撤回を求める動きが続いている。
これは今回の教科書検定で、沖縄の集団自決に関する記述が変更されたことに、異を唱える沖縄市民約11万人が参加した大規模な集会を受けてのものである。
政府は、このような彼らの主張を受けて、急遽、記述の見直しという対応を講じたのである。
歴史というものは、私たちが歩んできたことや記録しか残っていないような過去の記憶について学ぶものである。
だから、当然教科書に記述する事柄は、出来る限り確かな事実に基づいたものであるというのが大前提だ。
今回のケースの場合、軍の命令で集団自決が強制されたという記述が誤りであるとされたことが問題となっている。
私は、沖縄の集団自決について、詳しく勉強したわけではないが、新聞を読んだり、今回の沖縄市民の行動などから察するに、集団自決に旧日本軍が関与していたことは間違いないような印象を受ける。
しかし、大切なことは先ほども言ったように事実を伝えていくということだ。
文部科学省は、当初このような事実はなかったという否定的な見解を示した。
ところが、今回はいきなりの方向転換である。
これには多少、疑問を感じる。
もちろん、沖縄市民の気持ちはわかるが、そんなに簡単に教科書の内容を変えていいのだろうか。
私は、決して日本軍の関与を否定しろと言っているわけではない。
あくまで、教科書検定は本当に慎重に判断をしないといけないと思うのだ。
「大規模な集会が行われましたので、内容を変えます」というのは、あまりにも腰の引けた、無責任なことであると思う。
文部科学省は、あくまで客観的な事実に基づいた判断を下さないといけない。
そのような中で、「いったいどちらの意見が正しいのか」ということをもう一度、本格的に見直してみてほしい。
例えば、もう一度ちゃんとした調査を行うというのはどうだろう。
そうして、実際はどうであったのか、しっかりとした事実を国が把握するのである。
検定を行う側が、ちゃんとした判断材料を出せないというのも情けないことだと思う。
だから、今回のような問題が起こるのだ。
私たちは、ちゃんとした歴史を後世に伝えていくという責任がある。
そのためにも、本当はどうなのかということを、みんなで判断していかなければならないと思う。